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 標高1612m、白尾山に降る雨は長い時を経て地表に滲み出し、谷に注ぎ流れを集めます。その麓を源流に西に向かって流れる牛道川の谷筋に古来から六つの集落がありました。
 白尾大権現として信仰を集めたこの山麓は、東西南北をつなぐ街道でもあり、この道を通って行われた人と物の交流よって豊かな文化芸能がこの地に残されています。
 現在はその6つの集落が一つとなり六ノ里という字名となりました。ここは、そんな自然と暮らしと文化に彩られた美しい山里です。

 白尾山は古来、白尾大権現とよばれ神仏習合の信仰を集める山であったと言われています。
 白尾山山頂からは西北方向に白く光る白山三山の山並みがくっきりと見え、白山信仰の遥拝所でもあった事がうかがえます。
 郡上藩の殿様も八幡から代参を立てて、この六ノ里から白尾山に参拝したと伝わっています。
 そのような要所であった六ノ里は古来より人の往来が多く、鎌倉街道という東に抜ける山道を通り、飛騨や信州からの文化と西からの美濃や越前の文化がまじりあう場所でもありました。

 

 白尾山周辺にはカワズ洞国有林があり、ブナの自然林も多く残されています。そのブナ林から長い時間をかけて滲み出した伏流水が谷川の流れを集め、牛道川の源流となって六ノ里の集落を流れます。
 地質的に硬度な岩盤地帯を流れるこの川は、長い時間をかけて侵食され、一枚の大きな岩のような川底が水の流れの美しさを際立たせています。

 夏でも冷たいこの川には沢山の水生生物が生息しています。

 長良川の支流の中でも特に渓流魚(イワナ・アマゴ)の多い牛道川は渓流釣りファンにはよく知られた川釣りポイントです。雪の溶け出す頃になると全国各地から渓流釣りを待ちわびた釣師が六ノ里を目指して来ます。
清らかで豊富な水を使って源流部では淡水魚の養殖がおこなわれ、河川から水をひいた池ではルアーフィシングも楽しめます
 

 山に囲まれたこの地には平地が少ないので、稲作耕地を確保するために昔の人々は苦労して棚田を開墾しました。
この地域には代々優秀な石積職人が多くいたことから、河原石などを利用して石積し平らな耕地を広げました。
 今もその当時からの芸術的な石積み棚田を見ることができます。
 

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